きものスタイリスト 大久保信子流 季節を彩る晴れ着スタイル 晴れ着の丸昌 横浜店

お中元のご挨拶をする際の装い

地域にもよりますが、七月は、日頃お世話になっている方へのご挨拶の時期。
近年は配送が主流ですが、本来は感謝の気持ちを込めてお手渡しするのが礼儀です。
先様のお宅へ伺う際は、失礼にならず、そして涼感も備えた装いを心掛けましょう。

丸昌のレンタル衣裳を
「大久保信子流」にコーディネート

お中元のご挨拶にふさわしい
絽の訪問着

ご主人に代わって厚恩の御礼に伺う
奥様の着こなし

着用シーン

以下の着用シーンに合うアイテムを丸昌の
レンタル衣裳の中から選んでいただきました。

場面 お中元のご挨拶
立場 ご主人の厚恩ある方のお宅へ伺う奥様
年齢 50代

コーディネートのポイント

  • 礼儀をわきまえた慎ましやかな着こなし
  • 盛夏の暑さに清涼感をもたらす着こなし

着物

スワトウ刺繍が施された絽の黒留袖。

秋草の柄が織り出された帯。

感謝の心を表す
大切な場面での装い

一年の上半期を区切りとして、日頃からお世話になっている方に感謝の気持を込め、贈り物をするお中元。今回は、ご主人の厚恩ある方へお中元を持参する50代女性の着物をコーディネートしました。御礼のご挨拶に伺うのですから、それにふさわしいかしこまった装いであることが望まれます。華美になり過ぎず、慎ましやかであることがポイントです。また、夏は見る方に涼感をもたらす装いが理想的。絽の着物なら、先様にも好感を持っていただけるでしょう。

改まった印象を与える、
落ち着いた色柄の訪問着

今回選んだ訪問着

スワトウ(汕頭)刺繍と秋草の柄が涼やか

お世話になった方へのご挨拶にふさわしい、落ち着いた雰囲気の訪問着です。地色は黒ですが、絽の生地なので下に着ている生地が透けて見え、爽やかな装いになります。この訪問着でもっとも特徴的なのは、前身衣に施されたスワトウ(汕頭)刺繍。レース状になった部分がとても涼やかに見えると同時に、この訪問着を格調高く感じさせます。また、全体に描かれている柄は、萩などの秋草。モノトーンで表現されているのでシンプルな印象ですが、その中に明るい色合いの撫子の刺繍があしらわれており、程よいアクセントを添えています。

夏の暑さと着物について

暑さ対策は涼しい素材と着方がポイント

暑さがピークを迎え、汗の量も一段と増える盛夏は、着物を着るのをためらうかも知れません。この時期は、涼しい素材と着方で過ごすのがポイントです。着物や帯は、絽や紗、麻や綿といった通気性のよい素材を用いたものを使います。着物をレンタルする場合は肌着や長襦袢がセットされていることも多いのですが、特に暑がりの方の場合は、ご自身で麻の長襦袢を準備されると涼しいでしょう。また、肌着を着ずに長襦袢をじかに着るという方法を試されても良いでしょう。

小物は全体の色数を抑え、
品良くすっきりと

今回選んだ帯と小物

さり気なく着物と対応した色と柄

帯は、少しピンクがかった明るめのベージュ色に、ひんやりとしたイメージの銀糸が織り込まれています。トーンは夏向きの涼やかな色調ですが、ピンクの優しさも持ち合わせているのが特徴です。秋草の柄が織り出されており、着物と統一感のとれたコーディネートができます。
帯締めは、着物の刺繍の色と対応し、帯にもなじみが良いオレンジと、淡い緑色を織り混ぜたレース組。涼感もあります。帯揚げは絽で、ごく薄い緑色。草履とバッグは、通年使える礼装用のものです。バッグの上品なオレンジ色で、着姿にさらに統一感が出ます。全体の色数を抑えてすっきりと品の良い着姿になるように小物を選びました。

コーディネートした訪問着の
レンタルはこちらから

※帯や小物は、丸昌のコーディネーターによる
お見計らいとなります。

今月のひとことメモ

スワトウ(汕頭)刺繍とは

相良、蘇州と並ぶ中国三大刺繍の一つです。発祥の地、汕頭は広東州の沿海部に位置する街で、18世紀にヨーロッパの宣教師渡来により西洋の刺繍技術が伝わったとされています。ここで東西の文化が融合し生み出されたのがスワトウ刺繍。独自の装飾性が今や世界的な人気を博しています。

季節を表す草花

着物には日本の四季を表す、梅、桜、菊、紅葉などを文様にしたものが数多くあります。洋服は色で季節を表す場合が多いですが、着物では植物の柄・色で季節を表している場合が多いです。着物を着る方も、着姿を見る方も、それを楽しむ感性を大切にしたいものです。また、着る時期は、季節を意識して変えていくものですが、草花がデザイン化された単色の文様は、彩色のあるものよりも長い期間着られます。

教えてください! 愛用の一着

すすきに露芝模様の付け下げ

乱絽の濃淡が涼しげな付け下げ

着物は黒地の乱絽(らんろ)。絽目が変則のパターンで入っており、濃淡のコントラストがより涼しい印象に。露芝やすすきも、繊細かつ伸びやかな柄行きで涼やか。

菊の織り柄が入った絽綴の帯

帯は絽綴れ(ろつづれ)といって、絽織(ろおり)のつづれ帯。金糸で菊が織りだされているので、夏のフォーマルに使えます。
大久保先生「絽綴れの帯は6月~9月までと幅広い時期に締められるので重宝しています」

大久保信子さんのご紹介

1976年に某着物雑誌の制作に関わり、日本で初めて「きものスタイリスト」として紹介される。それ以降、ハースト婦人画報社、世界文化社、プレジデント社などの各雑誌、NHK、その他各種テレビ番組、着物取扱い業者のパンフレットなど、着物のスタイリングおよび着付けに幅広く携わる。十数年の日本舞踊の経験や、歌舞伎鑑賞を趣味としており、着物に関する奥行きの深い知識と美学を身につけている。常に、着る人の立場に立って、その人の持っている美しさを最大限に引き出すスタイリングと着付けには定評がある。