七五三を祝う子供の晴れ着姿は何とも可愛いもの。女の子のパパママの中には、せっかく着物を着るのなら、髪型も伝統的な感じにしたい!いつもと違った特別感のある髪型に!とお思いの方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、七五三の着物姿にうってつけの「日本髪」のヘアアレンジについてご紹介。お子様の年齢や髪の長さ、量なども考慮しながら七五三の髪型候補の1つとして検討なさってください。また、日本髪が一段と映える着物の柄についてもご紹介します。
「日本髪」って、どんな髪型のこと?
日本髪とは、江戸時代後期から発達した日本独自の髪型のこと。花嫁さんが結う「文金高島田(ぶんきんたかしまだ)」が有名な一例ですが、他にも「先笄(さっこう)」、「結綿(ゆいわた)」などがあり、その種類は細かく分類すると300以上に及んだそうです。ですが、結う人の年齢や立場などによって結える種類が決まっており、髪型を見ればその人がどんな人かおおよそ見当が付く…というものでもあったようです。
日本髪は、結い上げる手順や形状、使う道具にもきっちり厳格なルールがあり、専門の髪結い師さんでないとキレイに仕上げるのは困難です。また、一度結い上げた髪をほどくにも、スタイリング剤として使用する鬢付け油を取るにも、多くの手間隙がかかります。
そういった理由から生み出されたのが「新日本髪」です。日本髪の現代版アレンジとも言え、現在の七五三や成人式、結婚式などで見られる日本髪のほぼすべてが、この新日本髪に該当します。新日本髪には、日本髪のような厳格なルールがないため、美容師さんやヘアスタイリストさんの中にも対応できる方が多く、毛量が少なくコシがない子供の髪でも比較的結いやすいと言えます。また鬢付け油の代わりに、ワックスやヘアスプレーなどのスタイリング剤を使用するので、市販のシャンプーで洗えばすぐにリセットでき、あとのお手入れにも困りません。
※現在、日本髪として一般的になっているのは新日本髪ですので、以降は新日本髪を「日本髪」と表記します。
和装する機会自体がなかなかない今、七五三で着物を着る場合は、日本髪をする絶好のチャンスです。先述の通り、日本髪にはたくさんの種類がありますが、七五三で人気が高いのは、「桃割れ」や「あんみつ姫」の髪型。このスタイルをベースに、前髪の作り方や髪飾りなどで個性を出した日本髪が多く見られます。なお髪飾りは、前髪を上げて結った部分につける「ちんころ」、髷の部分につける「かのこ」、前髪の上に挿す「前櫛」、左右の鬢を飾る「かんざし」など、日本髪独自のものがあります。
「桃割れ」の髪型
頭頂部から後頭部にかけての髷を左右に分けてふっくらとした輪のかたちにまとめ、鬢を膨らませて結った髪型です。時代劇に出てくる町娘がよくしている髪型で、江戸時代の後期から明治時代まで、年頃の少女たちの間で人気を博したそうです。
「あんみつ姫」の髪型
正式な名称を「吹輪(ふきわ)」と言いますが、アニメやドラマ化もされた漫画作品「あんみつ姫」で、主人公のお姫様がしていた髪型と言う方が伝わりやすいでしょう。江戸時代に武家のお姫様が結っていた髪型で、頭上の豪華な髪飾りと、左右に垂らした後れ毛の束が特徴的です。
「日本髪」を結うためのポイントは?
日本髪は地毛で結うスタイルが主流のため、ある程度の長さが必要です。髪の長さがショート~ボブくらいのお子さんであれば、七五三に向けて伸ばす必要があります。全体的な毛量にもよりますが、おおよその目安は次のとおりです。
前髪の長さ
おでこが見えるアップスタイルにする場合は、鼻全体が隠れるくらいの長さがあると良いでしょう。前髪を下す場合は、特に伸ばす必要はありません。目の上で切り揃えたパッツン前髪も、斜めに流した前髪も可愛い日本髪に仕上がります。
サイド~バックの髪の長さ
鎖骨よりも長ければ結える場合が多いですが、肩下10~15cmの長さを目安に伸ばすと良いでしょう。逆に長すぎてもまとめづらくなってしまうため、その場合はカットが必要です。
また、日本髪を結うには、髪のコシと量も必要です。そのため、毛が細く柔らかで、ボリュームが少ない3歳の場合には、日本髪を結うのが困難なことも考えられます。普段のヘアセットではやらない逆毛を立てたり、梳き毛を入れたり、慣れないことも多く、ヘアアレンジ自体に時間もかかるため、3歳よりも7歳の七五三でチャレンジするのが無難と言えるでしょう。
お子さん本人の準備は、髪を伸ばす以外に特別なことはありませんが、美容室によっては日本髪に対応していないところもあるので、普段利用している美容室に七五三のヘアアレンジのお願いできるかどうかは事前に確認しておきましょう。なお、日本髪を結う前日の入浴の際は、髪はシャンプーで洗うだけのお手入れに。髪がサラサラになり過ぎると日本髪は結いづらいので、リンスやコンディショナー、ヘアパックなどは避ける方がベターです。
「日本髪」に映えるのはどんな着物?
七五三にせっかく日本髪をするのなら、その髪型が引き立つ衣装でお詣り、記念撮影がしたいですよね。新日本髪は、日本髪の現代版アレンジで、厳格なルールもないとお伝えしましたが、それでもドレスやワンピースなどの洋装とはミスマッチ…。やはり、着物に勝るものはありません。
ですが、一概に着物と言っても、昨今はさまざまなタイプの柄があります。そこでまずは、主流な柄をいくつかご紹介します。
古典柄
古くから愛され、引き継がれてきた伝統的な柄で、時代を問わない美しさ、流行に左右されない魅力があると言えます。桜や菊、熨斗や扇などモチーフはさまざまですが、繁栄や栄華、長寿といった願いや意味を持つものが多いのが特徴です。雅な雰囲気と格調の高さが感じられ、正統派の和のイメージを与える柄です。
モダン柄
その名の通り、現代的にデザインされた柄で、大胆な柄の配置や目を引く配色なども特徴です。もともと日本にはないバラなどの西洋花や、リボンやハートなどのモチーフも描かれ、和と洋をミックスしたようなドレス感覚で楽しめる柄が多くあります。柄によって印象はさまざまで、クールなものからエレガントなものまで多種多様です。
レトロ柄
明治時代や大正時代を想起させるような、どこか懐かしい雰囲気を持つ柄です。当時、西洋から入ってきた文化を取り入れ、日本独自の文化にミックスさせた、和洋折衷のテイストと言えます。代表的なものとしては、ドットやストライプ、チェックなどの幾何学模様があります。また、懐かしさの中に近未来感があるものはレトロモダン柄と言われ、現代的でモードなテイストが人気です。
どの柄もそれぞれに魅力がありますが、日本髪との相性という点で見れば、古典柄がベストではないでしょうか。正統派の和のイメージを持つ古典柄に日本髪が映え、和の美しさが一層際立つことでしょう。なお、コーディネートを考える際は、着物の生地や柄に使われている色と髪飾りの色をリンクさせると、全体のバランスが良くなるので試してみてください。
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最後に
以前は七五三の髪型と言えば…というくらい当たり前だった日本髪。昨今は、ふわふわと毛先をカールしたアップスタイルやルーズな編み下ろしのダウンスタイルなど、洋風テイストの髪型が主流となっていましたが、今また日本髪の人気が再熱しており、おじいちゃん、おばあちゃん世代の七五三のイメージにも合致して好評なのだそうです。
丸昌 横浜店では、七五三の晴れ着を豊富に取り揃えておりますが、その中でも日本髪との相性が良い古典柄の着物の品揃えには横浜随一という自信があります。刺繍や箔、絞りなどの伝統技法が光る、豪華な1点物の着物もございますので、ぜひ見学・試着にお越しくださいませ。
※予約状況により見学・試着ができない場合もあります。予めご了承ください。