成人式のトレンドのひとつになっている「ママ振袖」。“ママが着た振袖”の略語で、お母さんが成人式や結納などで着用した振袖を、娘さんが受け継いで着るのがちょっとしたブームになっています。母親の娘時代の着物は長く箪笥のなかに眠っていたものが多く、シミや汚れがついていることも……。成人式をママ振袖でと考える人に、美しく着こなすための準備のコツをご紹介します。
静かなブームになっているママ振袖とは
ママ振袖のブームに伴って、かつて自分が成人式や結納などで着た振袖を「両親が立派な支度をしてくれたので、お直しをして娘にも着て欲しい」と考える母親が増えています。ママ振袖はタンスにしまいっぱなしになっていた振袖を再び活用できるだけでなく、母から娘へと着物を大切に継いでいく機会としても注目されているのです。
また、祖母にしても娘のために買った着物をかわいい孫が着てくれることで成人の喜びもひとしおだといいます。昔に思いを馳せながら祖母、母、娘と3世代が懐かしいアルバムを開いて、着物談義をすれば絆がより深まりそうです。
ママ振袖を成人式に着るために、お手入れやお直し期間を逆算しましょう
成人式にママ振袖を選ぶ場合、いつから準備をしていけばよいのでしょうか。振袖のレンタルには、通常1年前から準備を始めるのが一般的です。ママ振袖は着る着物が決まっているとはいえ、長い間箪笥にしまっているものが多く、しみ抜きやサイズの調整やなどお直しのメンテナンスも発生します。また、帯や小物等のコーディネートもあるので、11~12月から準備するのではなくレンタルと同じく1年前から準備をしていくのがおすすめです。
スケジュールを組む際には、次のような注意点も抑えて逆算するとよいでしょう。
防虫剤の匂い
防虫剤は、独特のニオイをもっているものもあります。保管されている着物の生地に、防虫剤のニオイが染みついていることも珍しくありません。タンスから出しただけでは取れないこともあります。
虫食いやシミ
長期間保管している間に、虫食いやシミがつくこともあります。一度畳の上で広げてみて、くまなくチェックしてみましょう。もし、当てはまるものがあれば専門店へお直しに出しますが、仕上がるまでおよそ2~3カ月みておくとよいでしょう。
サイズ
若い世代は身長だけでなく、腕や足も長くてスタイルがぐっと良くなりました。30年近く前の振袖ではサイズが合わないことも考えられます。身丈であれば着付けでおはしょりを少なめにして対処できる場合がありますが裄丈は着付けでカバーしにくく、また仕立て直しでも出せる長さに限度があることも……。娘さんのサイズに合うかどうか、実際に羽織ってみてチェックするだけでなく、正確なサイズを把握するために専門店に持ち込んで、サイズを確認するのがおすすめです。こちらも同じく、お直しの期間はおよそ2~3カ月みておきます。
一式残っていなくても大丈夫。小物や帯をレンタルでアレンジ
母親の成人式の着物を一式取ってあったつもりが、探してみたら振袖しかなかった……といったケースには、小物や帯だけをレンタルして組み合わせることが可能です。
また、一式残っていた場合であっても、いざ広げてみると現代的な感覚では当時の帯や小物のコーディネートが古臭い印象になってしまうものもあるかもしれません。そんな時は、ママ振袖に着物全体の印象をがらりと変えられる現代風の小物や帯を取り入れてみましょう。古めかしかったコーディネートを垢抜けた現代的な雰囲気にすることができます。
着物の柄は伝統的なものが多く、時代に関係なく着られるものです。といっても、娘さんの目から見てママ振袖の柄が古典的で地味なのが気になるときには、帯揚げや帯締め、刺しゅう半衿や重ね衿、帯締めなどの小物をチェックなど現代風な色や図柄を選ぶことでモダンにまとまります。ママ振袖をベースに娘さんの好みや髪色、肌色に合わせて取り入れていくと、母親のときとはひと味違った娘さんの個性を活かした着こなしに仕上がります。
最後に
洋服と異なり、トレンドによって形状が変わらない着物。仕立ててから何年経っても、お手入れ次第で次世代へと大切に継いでいくことができます。祖父母、両親、娘と3世代が揃って家族写真に収まれば、着物が大切に受け継がれていくことを家族みんなが実感できるはずです。
晴れ着の丸昌では、ママ振袖を検討する方へサイズや状態の確認の相談を承っています。帯や小物だけのレンタルもできますので、まずはお手持ちの着物一式を持ってご来店いただき、成人式にふさわしいコーディネートを一緒に考えていきましょう。ぜひお気軽にお問い合わせください。