新型コロナウイルスの流行以降、人と人との接触の場面ではマスクの着用が一般化しました。それは普段の生活だけでなく、結婚式や成人式などの晴れの日、フォーマルな場でも同じです。しかし、マナーや礼儀作法が重んじられるシーンであることに加え、まだ十分に慣れていない新しい生活様式。フォーマル特有のルールや決まりごとがあるのさえ分からず、どんなマスクをすれば良いのかさっぱり…という方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、留袖や振袖などフォーマルな着物を着る場合に着目して、どんなマスクを選び、どんなふうに合わせれば良いかご紹介したいと思います。
マスクは、フォーマルな場面でも必須のアイテム。
新型コロナウイルスが世界的に流行してから、マスクは感染予防のための必須アイテムとなりました。未知のウイルスということもあり、流行の初期には結婚式や成人式をはじめ、さまざまな式典や行事が中止、延期されてきましたが、ワクチンの登場もあって現在は徐々に回復傾向にあります。当然、式場や開催者側もさまざまな感染予防対策を講じており、安心要素は増えつつあります。
とは言え、参加者側の予防意識は引き続き重要。自分が感染しないためだけでなく、他の参加者の安心のためにも、でき得る限りの対策をしたいものです。結婚式や成人式、入学式や卒業式といった晴れの場は、人生において数える程しかない貴重な機会。衣装もその場にふさわしい特別感があるものを、美しく優雅に着こなしたいところではありますが、マスクの着用はwithコロナ時代のマナーと心得ましょう。もちろん、発熱や咳などの症状がある場合は出席を控えるのが妥当。特別なフォーマルシーンにも、新しい生活様式を適用しましょう。
フォーマルな場のマスクマナーと準備の際の注意ポイント
結婚式や成人式といった人生の節目となる晴れの日の他、お宮参りや七五三といったお子様の成長行事などは、一生に何度もある訳ではありません。そんな特別な日に和装で臨む場合、着物はもちろんのこと、身に着けるものや持ち物にも、その場にふさわしい品格や華やかさが必要です。マスクの最大の目的は感染予防になりますが、晴れ着に合わせて普段とは少し違う特別なものを選んでみても良いでしょう。ここではマスクの選び方、準備段階での注意ポイントを挙げてみます。
自身の立場と慶びの心を考慮して選ぶ
マスク着用でお顔の半分ほどが隠れるとは言え、相手への礼儀やお祝いに対する慶びの心はきちんと表現したいもの。ホスト側とゲスト側のどちらでの参加か、主役は誰か、といった立場をわきまえた上で、お祝いの席にふさわしいマスクを選びましょう。華やかな雰囲気のある色柄のマスクを選ぶのもいいですし、一般的な白い不織布のマスクにチャームをつけたり、マスクカバーを重ねづけするなど、おしゃれなアレンジを加えるのもいいでしょう。
主張が強すぎるマスクは避けるのが無難
マスクは「正しく着用する」というのが最も重要なマナー。フォーマルな場であっても、マスクの色や柄には特にNGマナーはありません。ただし、あまりにも主張が強いマスクは避けるのが無難と言えるでしょう。黒留袖や振袖など、晴れ着として着る着物は品格が高く、優雅なものですから、マスクばかりが目立ってしまうと着物の良さがかすんでしまいます。着物の色にもよりますが、黒色や蛍光色といった視線が集中しやすい色は避けるのがベターでしょう。また、柄もののマスクを選ぶ際は、着物の柄とミスマッチにならないものを選びましょう。
マスクの機能性もきちんと見極めて
おめでたい晴れの場だからといって、見た目やファッション性ばかりに気を取られて選んでしまうと、マスク本来の意味を成しません。一般的な家庭用マスクの場合、飛沫飛散の抑制効果が高いのは、不織布マスク、布マスク、ウレタンマスクという順番です。また最近では、布の間に不織布を挟んだものや、抗菌防臭やUVカットなどの機能を備えたマスクもあります。選ぶ際は、これらの効果や機能をきちんと見極めて、ベストなものを選ぶようにしましょう。
マスクを外した時に備えてマスクケースも
大勢の人が集まる会場では、基本的にマスク着用が推奨されますが、食事をする際や記念写真を撮る際など、マスクを外す機会は何度かあります。その際に、外したマスクを食事中のテーブルにそのまま置いたり、手に持ったまま移動したりしては、見た目も衛生面も決して良いとは言えません。その対策として、マスクを一時的に保管しておけるマスクケースを準備しておきましょう。コンパクトで持ち運びに便利な携帯用のマスクケースなら、小さめのフォーマルバッグにも収納しやすいでしょう。
予備のマスクも忘れずに準備
マスクにメイクが付着してしまったり、耳にかけるゴム紐が切れてしまったり、想定外の事態に備えて、替えのマスクを複数枚準備しておくと安心です。式の主催者や会場側が準備してくれている場合もあるかと思いますが、いつどこで起きるか分からないのがアクシデント。慌てて対処している間に、大事なシーンを逃してしまう…といった失敗をしないためにも、自分で事前に準備しておきましょう。
着物に合うマスクの素材、色、デザインは?
普段の生活でマスクの着用が一般化した今、マスクのバリエーションも随分と増え、ファッションに合わせてマスクを選ぶ人が増えています。同じように、結婚式や成人式などのフォーマルな場に和装で臨む場合も「着物に合わせたマスク」という感覚で選ぶと、楽しさは広がります。先述した選び方のポイントが抑えられていればNGは無いので、次の内容を参考に、自分らしい着物とマスクのコーディネートを楽しんでみてください。
絹製のマスクは着物との相性Good!
独特の滑らかさと光沢が美しい絹。着物の多くは生地に絹が使われているため、同じ絹製のマスクは着物との相性が抜群です。高級感もあるためフォーマルな場面にもマッチし、エレガントな印象のコーディネートができるでしょう。
顔なじみの良い色を選ぶと好印象
基本的には好きな色を選んで問題ありませんが、黒や濃紺などのマスクは弔事をイメージさせてしまう可能性があるので、あまりおすすめできません。一方、ベージュやライトグレー、コーラルピンクやラベンダーなど淡い色のマスクは顔なじみが良く、肌や目元の印象が引き立ちます。また、マスクがあまり主張しないぶん着物の美しさが映えます。
色のリンクで全体のバランス感アップ
マスクの色を、着物の生地や柄に使われている色の中の一色と揃えたり、色のトーンを揃えたりするのもおすすめです。色をさりげなくリンクさせることで全体的な統一感が生まれ、バランスの良いコーディネートになります。
和柄マスクでテイストを統一
最近では、呉服や和雑貨の専門店がプロデュースするマスクや、和のテイストが好きな方が販売するハンドメイドマスクなど、和柄をあしらったマスクが手軽に手に入るようになっているため、全体を和テイストでまとめるコーディネートもできるでしょう。着物に描かれている柄と合わせると、統一感もあって素敵ですね。
和モチーフのチャームでセンスアップ
マスク本体やゴム紐につけるだけで、グンとおしゃれ度が増すマスクチャーム。いろいろなデザインがありますが、着物に合わせるなら、水引や組紐、つまみ細工など和のモチーフがデザインされたチャームを選ぶのはいかがでしょう。着物以上にマッチする衣装はないのでコーディネートに差が付きます。
最後に
新型コロナウイルスの登場で生活様式は一変し、晴れの日やフォーマルな場でも、ニューノーマルな対応が求められるようになりました。しかし、祝い事のめでたさや、慶びの気持ちがこれまでと変わることはありません。マスク着用や手指の消毒など、できる限りの感染症対策をした上で、貴重な日を大切に過ごしましょう。
晴着の丸昌 横浜店では、結婚式や成人式などの衣装選びのサポートに加えて、当日着用するマスクのご相談にも応じております。着物とのコーディネートに疑問や不安をお持ちの場合は、ぜひお気軽にお声掛けください。