お宮参りは、赤ちゃんが産まれてから最初に行う大切な行事です。ですが、はじめてのパパ・ママには分からないことも多いもの。そこでここでは、お宮参りをいつするのか、誰と何をするのか、どんな流れでどのような準備が必要か、詳しくご紹介します。
(※この記事は2017年8月22日に公開したものを加筆修正しました。)
お宮参りとは?いつ、どこでするの?
お宮参りは、本来は生まれたばかりの赤ちゃんを土地の氏神様に参拝させて、新しい氏子として祝福をうけるという意味がありました。古い時代には“穢れ”とされたお産の忌明けの儀式でもあったようです。現代では、赤ちゃんが無事に産まれたことを感謝し、健やかな成長を祈る行事として行われています。
お宮参りをする時期はいつ?
お宮参りは、赤ちゃんが産まれてから約1か月後、男の子は生後31日目、女の子は生後33日目に行うとされていますが、最近ではそれほど厳密ではなく、赤ちゃんと母親の体調、家族の都合、お天気などが良い日を選ぶ方も多くいらっしゃいます。真夏や真冬にかかる場合は、過ごしやすい気候になるのを待っても差し支えありません。なお日本では、冠婚葬祭などの儀式行事の際は「お日柄」が考慮されるケースも多く、「結婚式は大安に」「お葬式は友引を避けて」などと言われます。これは六曜(または六輝)と呼ばれる暦注で、その日の運勢や吉凶、禁忌などを表すものです。お宮参りの場合も、この暦注に配慮して日取りを決めた方がいいのでは…?仏滅は避けて大安にするべきでは…?とお思いの方もいらっしゃると思いますが、お日柄の良し悪しに根拠はなく、公的に管理されているものでもありません。言わば、迷信のようなものなので、解釈も信心もそれぞれの自由。お宮参りにいつ行くかは、ご家庭ごとの方針でお決めいただいて問題ありません。
お宮参りの日取りを決める際の注意点
ただし、中にはお日柄を気にされる方もいらっしゃいます。祖父母様や親族の方など一緒に参拝に行く方がいらっしゃる場合は、いつにするか事前にご相談されると良いでしょう。トラブルを未然に防ぐという意味では、あらかじめ了承を得ておくと安心です。また、その日の運勢や縁起の良し悪しで言えば、一粒万倍日、天赦日、鬼宿日、甲子の日なども吉日と言えますので、お日柄への配慮が必要な場合は、そういった日も候補に入れて考えると選択肢が広がって良いかも知れません。
また、真夏や真冬にお宮参りをする場合は、暑さ・寒さ対策を講じましょう。赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため外気温の影響を大きく受けます。真夏は吸汗速乾性の高い肌着を着せ、通気性の良い春夏用のベビードレスを選びましょう。真冬の場合は、ベビードレスの下に保温性に優れた肌着を着せ、ベストやおくるみ、レッグウォーマーなどで体温調整をしてあげましょう。
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お宮参りをする場所は?
一般的には地域の氏神様である神社で行いますが、自分の好きな神社でお宮参りを行う人も増えてきました。なかには安産祈願をしていただいた神社に、出産のお礼もかねてお宮参りをするというケースもありますし、結婚式を挙げた神社、自身の思い入れのある神社というケースもあります。いずれにせよ、最も配慮したいのは赤ちゃんやママへの負担です。遠方で移動に時間がかかる、人気のある有名神社で参拝までの待ち時間が長い…などの場合は、体調に影響することもあるので、そのあたりも踏まえて検討すると良いでしょう。
はじめてお宮参りをされる方は、いつどこに参拝に行けば良いのか分からず、不安を感じるかも知れませんが、そこまで厳格に風習にとらわれる必要はありません。世代によって考え方が違うので、おじいちゃんおばあちゃんと意見が合わない場合があるかも知れませんが、「赤ちゃんの体調や体力に無理がないのが第一だから」と説明して、負担が少なくて済む時期と場所を選ばれると良いでしょう。
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お宮参りまでの流れ、必要な準備は?
お宮参りをいつするのか、日取り決めもそうですが、当日までに検討、決定しておくことは他にもあります。ここではお宮参りまでの流れ、準備の内容について解説します。中には、父方・母方それぞれの実家へ相談しておくとスムーズなこともあると思いますので参考にしてみてください。
参拝には誰と行く?
昔は、お宮参りに行くのは父方の祖父母というのが一般的な習わしでした。ですが現代では、母方も含めた双方の祖父母や赤ちゃんのパパ・ママの兄弟姉妹なども一緒に行かれるケースが見られ、ご家族が集まるイベントという趣きが強くなっているようです。形式にとらわれ過ぎる必要はないですが、伝統やしきたりを重視するご家庭の場合は、パパママのご両親にも相談して、誰と行くのか参加者を決めるようにすると良いでしょう。
お宮参りの産着は誰が買う?
昔からの慣習では、お宮参りに赤ちゃんが着る産着は、母方の実家が準備をするのが一般的でした。ですが今はそれも薄れてきており、祖父母様に頼らず、ご自身で準備されるパパママがいらっしゃったり、こだわらない人も増えています。ですが、孫の産着は私が!と張り切っている祖父母様もいらっしゃると思いますので、誰が買うかを決める際は、一旦、実家にお声がけをされると良いでしょう。なお、購入の他にレンタルという手段もあるので、それも含めて相談なさってください。
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お宮参りの費用は誰が持つ?
産着は母方の実家が準備する一方で、参拝の費用(祈祷料、初穂料)は父方の実家が準備するとされてきましたが、この慣習も今では重視されません。誰が何を準備するのかという決まりはありませんので、それぞれご家族の方針で決められると良いでしょう。
参拝の他に何をする?
お宮参りのメインは神社への参拝ですが、その他に何かお祝いや想い出になるようなことをするのかどうかも、あらかじめ決めておきましょう。昨今は、記念撮影や衣装レンタルのサービス、お祝いの食事会、お披露目会も多様化しています。サービスを提供している業者や施設などもさまざまですので、ご家族の希望に合うものを検討されてください。
お宮参りで何をするの?
お宮参り当日のスケジュールは家族の都合、地域の風習なども大切にしたいものです。はじめての場合は特に、あらかじめ何をどんな流れでやるのか、準備の段階から家族で話し合っておくと良いでしょう。
神社へのお詣り
神社への参拝は、お詣りするだけの場合と、ご祈祷をうける場合とがあります。ご祈祷をうける場合は、必要な手続きや流れを事前に確認しておくとスムーズです。
参拝の方法は?
お詣りだけの場合、一般的な神社への参拝と同様です。お賽銭を入れてから鈴を鳴らしてお詣りをします。一般的には「二礼二拍手一礼」を行うとされますが、作法が異なる神社もありますので、参拝先に応じて適宜対応なさってください。
ご祈祷をうける場合は、事前に社務所に連絡してから参拝に出かけます。お宮参りの祈祷料(初穂料や玉串料と呼びます)は一般的に5000円~1万円が目安。白い封筒または祝儀袋(紅白、蝶結び、のしなし)に入れて渡しましょう。表書きは上段に「御初穂料」もしくは「御玉串料」、下段に赤ちゃんの姓名を書きます。拝殿の中に入って15~30分程度のご祈祷となるため、始まる前にオムツ替えや授乳をすませておきましょう。
なお感染症対策のために、拝殿の中に入る人数を制限している神社もあります。赤ちゃんの両親の他、兄弟姉妹や祖父母など、ご家族お揃いで参拝に行かれる予定の方は、拝殿に入る人数とそのメンバーをどうするか準備段階で考えておくとスムーズでしょう。
赤ちゃんは誰が抱くのか?
正式なお宮参りの作法では、赤ちゃんを抱くのは父方の祖母とされています。これは、お産が「穢れ」とする考えから来るもので、母親はまだ忌明けがすんでいないため、代わりに父方の祖母が抱くというわけです。母親がお宮参りに参加しない地方さえありましたが、これは産後の母親の体調を気づかってのことだとする説もあります。ですが、誰が抱くかに絶対的な決まりはないので、あまり形式にとらわれず、体力や体調に負担のない方が抱っこすると良いでしょう。
記念撮影
記念撮影は参拝日当日、カメラマンに出張撮影を頼んだり、神社内に併設されている写真館で撮影したりすることもありますが、多くは赤ちゃんの体調やご機嫌を考えて、別の日に写真館(フォトスタジオ)や、レンタル衣裳の撮影プランなどを利用して撮影されているようです。赤ちゃんにとって生まれてはじめてのイベント(通過儀礼)なので、記念写真を撮っておくと、ご家族にとっても良い想い出、記録になります。
なお、神社で撮影する際には、撮影できないエリアや対象物などを事前に確認しましょう。
あいさつ回り、会食
お宮参りの後、ご近所や親戚へのあいさつ回りをするしきたりがありますが、母親や赤ちゃんの体調次第で考えましょう。最近では、お宮参りの後に会食することも多いようです。会食をされる場合は人数や場所、時間など、赤ちゃんや母親の体力的な負担、感染症対策に配慮してお楽しみください。
お宮参りの服装はどうする?
それではお宮参り当日は、何を着たら良いのでしょうか。はじめての場合は分からないことが多いと思いますので、赤ちゃんやご家族それぞれの服装と準備についてご紹介します。
赤ちゃんの服装
お宮参りの赤ちゃんの正式な服装は、白羽二重の内着に祝い着を掛けた和装ですが、最近ではベビードレスやカバーオールの上に祝い着を掛けるスタイルが主流です。祝い着は、赤ちゃんを抱いている人の後ろで結びます。地域によっては、そこにお守りをつけることがあります。
祝い着のデザインには男女で違いがあります。男の子は、鷹や兜、龍や虎など強くたくましいイメージ柄のものが人気で、女の子用には、蝶、手毬、鈴、御所車や鼓などの華やかで上品な柄がよく使われています。
洋装の場合はセレモニードレスやカバーオールに帽子とスタイを着用。季節や天候に応じてケープやおくるみを羽織ります。デザインはシンプルなものからゴージャスなものまで様々ですが、色は白が一般的です。
服装の準備は、おじいちゃんおばあちゃんが購入してくださるケースもあるようですが、着用機会が1回しかないためレンタルを利用される方も多くいらっしゃいます。購入とレンタル、どちらもメリット・デメリットを確認して準備なさってください。
両親の服装
両親の服装に決まりはありません。家族の服装は赤ちゃんに合わせるという原則を意識して、赤ちゃんが祝い着で正装をしている際はできるだけ両親もフォーマルな服装を選びましょう。
父親は略礼服に白のワイシャツ、白ネクタイが基本ですが、ダークスーツでも構いません。和装の場合、男性は紋付き袴が正装ですが、現代では珍しいため赤ちゃんよりも目立ってしまうでしょう。母親が和装にされる場合は訪問着、色無地、付け下げが一般的で、赤ちゃんの祝い着を引き立てる控えめな色柄を着用します。しかし、産後の体調を重視して、洋服でも全く問題ありません。授乳服にきちんと感のあるジャケットを羽織ったり、フォーマルなシーンに使えるワンピースなどを着ても良いでしょう。
祖父母の服装
赤ちゃんが着物・和装の場合には、祖母も色無地や訪問着などの和服にするのが正式なしきたりですが、赤ちゃんの両親が略礼装なら、祖父母も略礼装で構いません。どのような格のものを着るかよりも、格を合わせる方が大切です。特に父方と母方の両家の祖母が揃って参列する場合には、服装の格を合わせるようにしましょう。
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最後に
お宮参りは、大切な赤ちゃんの誕生を祝い、今後の健やかな成長を祈るための行事です。はじめての場合は事前にしっかり準備をしてお母さんと赤ちゃんの体調や家族の都合に合わせて行いましょう。
丸昌 横浜店では、男の子用・女の子用ともに上質で品格のある祝い着を豊富にご用意しております。はじめての方にも安心してお宮参りをしていただけるよう、祝い着の選び方をはじめお詣りに関する習わしやマナーなどについてもご相談に乗っておりますので、お気軽にお声掛けください。分からないことが多くてネットレンタルでは不安…という方は、ぜひご来店ください。和装の専門知識を備えたスタッフがお一人おひとりのニーズに応じて丁寧にサポートいたします。また、ご家族のお衣装が必要な場合は、赤ちゃんのお祝い着に合わせたご提案をさせていただきます。