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黒留袖での美しい所作と押さえておきたい礼儀作法

黒留袖での美しい所作と押さえておきたい礼儀作法

既婚女性の正礼装である黒留袖は、結婚式・披露宴の際に、新郎新婦の母親や親族が着用する定番の衣装。特に母親は、ゲストをお招きする立場であり、新郎新婦に次ぐ準主役でもあるため、その黒留袖の着こなしはもちろん、立ち居振る舞い、仕草やマナーといった所作全般にもたくさんの視線が集まります。そこでここでは、黒留袖の品格にふさわしい、美しい所作や正しい礼儀作法をご紹介。これらを心がけていれば、きっと「品のある素敵なお母さん」に見えるはずです!

目次

黒留袖は、トップクラスの品格を有する着物

黒留袖の着用時に気を付けるべき所作の数々

黒留袖は、トップクラスの品格を有する着物

洋装が一般化した現在では、着物を着用するのはお宮参りや七五三といった伝統的な儀式や、入学・卒業の式典、そして冠婚葬祭くらいでしょう。こういった改まった席、フォーマルな場面で着用する着物は礼装と呼ばれますが、礼装には格付けがあり、高い順に「正礼装」「準礼装」「略礼装」の3種類があります。そして、結婚式で新郎新婦の母親や親族が着用する黒留袖は、最も格式の高い正礼装にあたります。

はじめての黒留袖

黒留袖で、参列者へ敬意と礼儀を表す

女性の正礼装の着物には、黒留袖の他に、五つ紋入りの色留袖や振袖があてはまります。ただし、黒留袖の着用は既婚女性に限られています。色留袖は既婚・未婚を問わず着用できる着物で、五つ紋が入っていれば黒留袖と同格にはなるものの、結婚式においては、母親は黒留袖というのが一般的です。淡く穏やかな色味が多い色留袖に比べ、黒留袖はより重厚感があり、父親が着用する黒色の紋服やモーニングと並んだ際に相性やバランスが良いという点も影響しているのかも知れません。このように格式が高く厳かな黒留袖を着用することには、参列者に最大限の敬意と礼儀を表す意味合いがあります。それゆえ、黒留袖に合わせる小物とその着こなしについても品格の高さが求められ、選ぶ際にはさまざまな決まりごとやマナーに配慮しなければなりません。

正礼装の品格にふさわしい所作を

黒留袖に求められる品格は、合わせる小物類の選び方、着こなし方だけではありせん。着用時の立ち居振る舞いも、黒留袖の品格に見合うものでなければなりません。歩いたり、座ったりという所作の美しさはもちろんのこと、参列者に対するお辞儀の仕方や、「末広」と呼ばれる小物の使い方といった作法にも配慮が必要です。和装ゆえのタブーもあるので、普段と同じような感覚でいると、所作がぞんざいに見えることや、無礼な作法になることも起こり得ます。次の段落でご紹介する内容をぜひ参考になさってくだい。

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黒留袖の着用時に気を付けるべき所作の数々

ここでは、美しく見える所作の基本とタブー事項、そして注意すべきポイントを詳しくご紹介します。もちろん、黒留袖以外の着物を着た際にも役立ちますので、ぜひこの機会に覚えてみてください。美しい所作が身につくと、着崩れが起きにくくなるのも大きな利点です。

立ち姿勢

背筋を伸ばして胸を張り、あごを引いた姿勢で立ちましょう。腹は引き、腰はしっかりと伸ばします。頭のてっぺんから真っ直ぐ糸で吊られているような感覚です。脚は、草履の先が開かないよう、やや内股にします。この時、両足は同じ位置に揃えるより、片足を少しだけ後ろへずらすようにすると良いでしょう。両腕は肘を軽く曲げ、帯の下あたりで手を自然に重ねます。指先は開かず、揃えると美しく見えます。

こうなるとNG!

背中がネコのように丸まった猫背の姿勢にならないよう注意しましょう。背中が丸まると、年齢よりも老けて見えたり、鬱々として冴えない印象を与えてしまったりします。結婚式という大切な晴れの日ですので、美しい姿勢といきいきとした表情で過ごしましょう。

黒留袖の所作_立ち姿勢

歩き方

歩幅を小さく、内股気味に歩きます。膝頭を離さないように意識し、足をやや八の字にするのが基本です。かかとからではなく、つま先から地面につける感覚で進み、草履を引き摺らないように注意しましょう。上前を右手が軽く押さえながら歩くと奥ゆかしく見え、裾がめくれることもありません。慣れない所作で不安かも知れませんが、足元を凝視せず、視線は前に向けると美しい歩き方に見えます。

こうなるとNG!

結婚式当日は時間に追われ、気持ちが急くこともあると思いますが、大股で歩いたり、小走りしたりするのは優雅さに欠けます。また、歩く際に腕を大きく振ったり、だらんと下げたりするのもNGなので気をつけましょう。

黒留袖の所作_歩き方

階段昇降の仕方

昇る時は、裾が階段に触れて汚れないよう右手で上前を少し持ち上げ、裾を踏まないように注意しましょう。降りる時も、同様に右手で上前を少し持ち上げます。身体の向きは、階段に対して少し斜めにする方が昇り降りしやすいでしょう。焦らずゆっくり、優雅な動きを意識し、草履の音を立てないようにするのもポイントです。

こうなるとNG!

上前を持ち上げた際に、ふくらはぎがあらわになるほど上げるのはNGです。黒留袖に限らず、和装では肌が大きく露出するのはタブーなので、足首より上が覗かないように注意しましょう。

黒留袖の所作_階段昇降の仕方

椅子の座り方

帯が崩れないよう、浅く腰掛けるのが基本です。背筋を伸ばし、お尻からではなく、腰から真っ直ぐ下ろすような感覚で座ります。座った後、後ろの裾が地面につかないよう、膝の後ろに少し着物を入れると良いでしょう。膝は揃えて座りますが、膝から下は地面に垂直に下ろすよりも、揃えた足を少し斜め後ろに引く感じにすると、奥ゆかしい雰囲気になります。

こうなるとNG!

座面の奥まで深く座ったり、背もたれに身体を預けたりするのはNGです。せっかくの帯結びの形が崩れたり、潰れたりする要因になります。また、両膝とつま先が開いた座り姿勢は美しさに欠けるので避けましょう。

黒留袖の所作_椅子の座り方

袂の扱い方

袂の扱いは、洋装にはない和装特有の所作になります。手を肩より上にあげたり、肘を真っ直ぐ伸ばしたりする時には必ず、反対側の手で袖口を軽く押さえるようにしましょう。こうすることで、所作が上品に見えるだけでなく、テーブルのグラスや食事のお皿に袖が触れて、倒したり汚したりするトラブルを未然に防ぐことができます。

こうなるとNG!

袂から長襦袢が覗いたり、肌が大きく露出したりするのは和装時のタブー。品が悪く見えてしまうので、肘が見えるほど腕を上げないようにしましょう。

黒留袖の所作_袂の扱い方

末広の扱い方

末広は、祝儀扇とも呼ばれる少し小ぶりの「扇」で、開くと先へ向かって広がる、末広がりの形状をしていることがその名称の由来とされています。結婚式のような祝儀には欠かせない小物で、挨拶の道具として用いられます。通常は、帯の左側に挿しておき、挨拶をする際に末広を手に持って立ち、お辞儀をしたら元の位置に戻します。

正しい末広の挿し方

自身から見て身体の左側に挿すのが基本です。帯の部分に挿しますが、どこでも良いわけではなく、正しい位置は帯と帯揚げの間です。この時、開く方を上に、地紙の色が見えるよう正面向きで、帯から2〜3cm出すように挿してください。

黒留袖の所作_末広の挿し方

正しい末広の持ち方

ゲストの方へのご挨拶や、集合写真などで末広を手に持つ際は、右手で末広の根元を上から覆うように持ちましょう。この時、左手は開く部分を下から支えるように添えます。帯よりやや低い位置で、末広が横向きになるように持ちますが、末広が身体に密着しないよう、やや離して持つのがポイントです。

黒留袖の所作_末広の持ち方

こうなるとNG!

末広は挨拶の道具なので、広げたり、あおいだりして使うことはNGです。結婚式が夏場に開かれる場合や、会場が屋外のケースもあると思いますが、涼をとるためのうちわがわりに使用しないでください。なお、末広を帯に挿す際、着物と帯揚げの間に挿すのは「間を割る」という意味になり結婚式にはマナー違反です。また、先端が長く突き出ていると上品に見えないので注意しましょう。

お辞儀の仕方

結婚式の日に母親がする所作で、最も回数が多いのがお辞儀かも知れません。礼をする前に相手を見て言葉をかけ、お辞儀をします。この時、背筋を伸ばしてあごを引き、手は体の前で重ねます。頭だけを下げるのではなく腰から折るように上体を静かに前に傾けましょう。その後、すぐに上体を起こすのではなく、一度静止してからゆっくりと上体を起こします。起こしながら再び相手に視線を戻しましょう。お辞儀で最も大切なのは、心を込めて丁寧に行うことです。

こうなるとNG!

礼をする時も、姿勢を戻す時も、勢いよく動作するのは良くありません。きびきびとした動作よりも、丁寧で淑やかな動きを意識しましょう。

黒留袖の所作_お辞儀の仕方

最後に

黒留袖は既婚女性が着用する最も格式の高い着物なので、合わせるアイテムの選び方、コーディネートの完成度、着用時の所作やマナー、すべてにおいて高い品格が求められます。初めて黒留袖を着る方は、ハードルが高過ぎる…と感じるかも知れませんが、丸昌では和装マナーの専門知識を有するスタッフが多数在籍しております。結婚式用の黒留袖選びだけでなく、さまざまな不安や疑問などにも丁寧にお応えし、多くのお母様をサポートしてきた実績がございますので、安心してご相談くださいませ。

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