結婚式が多いのは一般的に春や秋と言われていますが、当然、夏に結婚式を挙げられるカップルもたくさんいらっしゃることでしょう。今どきは、結婚式場も披露宴会場も空調設備が整っていますが、ゲストをお招きする立場としてきちんと黒留袖を着るとなると、やっぱり気になるのが暑さと汗。ここでは、夏の結婚式で黒留袖の着こなしと、暑さや汗対策についてご紹介します。
夏場、黒留袖はどう着こなせばよいのでしょう?
黒留袖に限らず、着物は季節に応じて着分けるのが慣習です。この点は、季節感を大切にする日本文化ならではの特徴とも言えます。
一般的に、過ごしやすい気候の10月から5月までは袷(あわせ)という種類の着物を着用し、夏の始まりと終わりの6月、9月には単衣(ひとえ)、盛夏の7月~8月は薄物(うすもの)という種類の着物、というふうに着分けます。なお薄物には、絽(ろ)や紗(しゃ)などの種類があります。これら夏用の着物は、生地の素材や仕立ての方法が工夫されており、袷に比べると涼やかに着られる点が特徴です。透け感があったり、風通しが良かったり、見た目も着心地も夏仕様になっています。
今どきの式場は空調設備が整っており、どの空間も涼しく快適なので、夏場の結婚式に袷の黒留袖を着ても、暑さが気になることはさほどないでしょう。もし、神社で執り行う神前式やガーデンウェディングなど、空調設備のない屋外での結婚式の場合には、この着分けの時期に合わせて、単衣や薄物の黒留袖を着用されると良いかもしれません。ただ、夏限定の着物だけに、自身で誂えた黒留袖は袷しかない…という方が大多数かと思います。そんな時は、レンタルの活用も検討されてはいかがでしょうか。お誂えで準備するよりもずっと手軽に、涼やかに黒留袖を着こなすことができますよ。
◆単衣の黒留袖はこちら
◆絽の黒留袖はこちら
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夏の結婚式で黒留袖を着る際に注意したいこと
夏に限ったことではありませんが、結婚式では新郎新婦両家で、装いの格が揃うようにすることが大切です。黒留袖は最も格の高い第一礼装ですから、もし洋装にする場合は、黒留袖に匹敵する第一礼装のアフタヌーンドレス(昼用)やイブニングドレス(夜用)を着用すると格が揃えられます。
また、ガーデンウェディングやレストランウェディングといったカジュアルな雰囲気の式なので黒留袖は着ない、という場合も両家で装いの格を統一される方が無難です。
なお先の説明で、着物は季節に応じて着分けるもの、というご紹介をしましたが、夏用の黒留袖を持っている方は稀なこともあり、袷を着ているからと言って、ゲストに失礼にあたることはありません。花嫁が夏用の白無垢や色打掛を着ていることはほとんどありませんので、黒留袖も袷で構いません。また、昨今は5月でも夏のように気温が高かったり、9月になっても残暑が厳しいことが珍しくありません。ですので、着分けの時期もあまり厳密に考えすぎず、地域や体調に合わせて臨機応変に判断されると良いでしょう。
結婚式や披露宴では、両家が並んで記念撮影をされることもあるかと思いますが、絽の黒留袖の場合は透け感のある生地の特性上、特に自然光の当たる場所では、黒留袖の色が薄く写りがちです。両家ともに絽の黒留袖であれば問題ありませんが、一方が袷、もう一方が絽という場合は、写真うつりの色合いにかなり差が出てしまうということを認識しておくと良いでしょう。
黒留袖を着る際の暑さ&汗対策について
生涯を通しても、黒留袖を着る機会はそう多くありません。せっかく着るのであれば、夏でも暑さを感じさせることなく凛々しく着こなしたいものですね。
夏用の単衣や絽の黒留袖であっても、家で着て炎天下の中を移動するとなると、かなり汗をかいてしまうので、会場に着替えられる場所があるかどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。袷の黒留袖を着る場合は、通気性のよい夏用の肌襦袢や長襦袢を着用すると涼しく着られます。半衿や帯締めも夏用のものがありますが、これらはひと目で季節の見分けがつくものなので、着物の種類に合わせてください。また、伊達締めや腰紐は化学繊維のものより天然繊維のものを使うのが涼しく装うコツです。
最後に
暑さや汗を心配して、夏場は着物を着ることをためらわれる方もいらっしゃるかと思います。ですが、結婚式場はエアコンで快適な温度が保たれていることがほとんどですし、季節に応じた着物や着付け小物をうまく使い分ければ、暑さや汗はあまり気にならないかと思います。せっかくの機会ですから、夏の結婚式にも凛々しく黒留袖を着こなされてはいかがでしょうか。